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北海道千歳リハビリテーション大学との共同研究である2018年度科学研究費補助金研究の中間報告がまとまりましたので報告します。この研究は、3年間の前向き研究として今後も継続して行われます。
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北海道内8町の後期高齢者2,227人を対象とした健康維持増進効果に関する調査を行った結果、北海道内各地で高齢者が教える多重課題運動「ふまねっと運動」が「日常生活関連機能」、「閉じこもり」、「認知機能」、「抑うつ」など幅広い項目で、健康状態の悪化を防ぐ可能性があることがわかりました。 「ふまねっと運動」に参加した人(参加群)は、参加しなかった人(不参加群)よりも、状態が「悪化した」と回答する割合が37%〜58%有意に少ない結果となりました。 ふまねっと運動は、認知機能の改善効果がある多重課題運動(同時に複数の課題を行う運動)です。高齢者が教える多重課題運動にこれほど幅広い効果が認められたのは初めてで、高齢化、過疎化する市町村のサロン活動などへの活用が期待されます。
研究概要 1. 北海道内の8町(浜中町、様似町、比布町、池田町、上富良野町、弟子屈町、由仁町、士幌町)の75歳から79歳までの町民3,156人を対象に、2018年10月から12月までの間に、自記式調査票による生活習慣と健康状態の調査研究を実施しました。2,227人より研究に同意するという回答が得られました(回答率70.6%)。 2. 研究に同意した2,227人のうち、多重課題運動の一つである「ふまねっと運動」に参加した経験がある人は747人で全体の34.7%でした。 3. 厚生労働省がすすめる介護予防のための生活機能評価を目的とした「基本チェックリスト」の各項目を、「ふまねっと運動」に参加した人と参加しない人で比較しました。性別や年齢を考慮に入れて分析した結果、ふまねっと運動に参加した人は、参加しなかった人よりも、「日常生活関連動作」に関する項目で「悪化した」と回答する人の割合は58%少ない、「閉じこもり」に関する項目で「悪化した」と回答する人の割合が57%少ない結果となりました。 4. 同様に、「認知機能」に関する項目では37%、「抑うつ」に関する項目では38%、「悪化した」と回答する人の割合が少ない結果となりました。以上の4項目では、統計的に有意な差が認められました。 5. 高齢者が教える多重課題運動「ふまねっと運動」は、後期高齢者の日常生活機能の低下を防ぐなど、介護予防に好影響を与えていることが示唆されました。
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